琵琶湖方面に出掛けた目的は、針江地区の「かばた(川端)」を見学するためでした。
真面目に書くといくらでも長くなりそうなので、がんばって短く、つとめて簡単な言葉で書きたいと思います。たまにしかないマジネタかな。
針江では比良山地に降った雨が伏流水となって大量に湧き出していて、古くから大切に使われてきました。
各家庭の庭先や屋内に「かばた」と呼ばれる水場を作り、飲用や炊事に用いてきたのです。
かばたでは鯉を飼っています。洗う前のお釜などを浸けておくと鯉がきれいに食べてくれます。(鯉好きの自分にはこれが羨ましくてねー。)かばたの外の小川には公の鯉がいます。
豆腐屋さんのかばた。
空き地に残るかばた。
家はすっかり無くても、湧き水は流れ続けています。
かばたには水の入口と出口があって、言わば、清らかな川が自宅の隅を通過しているようなもの。
川下の方もきれいな水を使えるように、水がよごれるようなものは流しません。
水がきれいな証拠にサワガニがいました。
洗剤は、食用油の廃油から作った決められたものを使っています。
「そうしなさい」と言われなくても、そうしなくてはと思う暮らし。
(念のためですが、下水道は別に整備されています。)
針江大川の水の8割は、各家庭のかばたから流れ出たもの。
小さくサギが写っているのが見えますでしょうか?
針江ではサギはそこここにいました。
各家庭から一人ずつ出て定期的に川の藻を刈るなど、土地の人で土地の暮らしを守っています。
護岸工事をして草がなくなると魚の隠れ場がなくなるので、ブロックに隠れ場が作ってあります。生態系を乱さない配慮ですね。
針江には絶滅危惧種の生物がたくさんいると聞きました。
案内をして下さった方の庭先のかばた。
きゅうり、おいしかった。
水温は年間を通して10℃ぐらいと言っていたかな?(すぐ忘れる頭です。)
針江の暮らしと人々の行いを知り、とても気分が良い反面、複雑な気持ちです。
「すべてを同時に大切にすることが、本当はできるのに」と思いました。
(注釈)
針江のかばたについて、かつてNHKで取り上げられてからオーバーツーリズムが起きてしまい、現在は「針江生水(しょうず)の郷委員会」さんが申込制のかばた見学会を用意して下さっています。この記事は、その見学会の範囲内のものです。