小田原唯一の銭湯
ここは調べたのではなく通りかかって見つけたのですが、その時は定休の火曜日だったので、次の機会をうかがっていたところでした。
字がいい
カランが8個だけのこじんまりしたお風呂で、湯船は奥の壁沿いに2槽。
ペンキ絵は二巨匠のものではないと感じ、隅にある署名は〇の中に「み」とありました。もしかして中島盛夫さんに弟子入りされた田中みずきさんかな。松の感じなど、似ているし。
帰り際、番台のおばあさんに「どなたの絵ですか?」と尋ねると、「いま男湯に誰もいないからここ開けて入って見て。男湯は富士山なの。」と、番台の下にある通用口を示されました。
ラッキー! 写真もどんどん撮って、とのこと。
小さめの浴室のせいか、壁の端手前側まで絵があるのは珍しいです。
描かれたのは女性だとおっしゃったので、田中さんで間違いないでしょう。女湯にあったご署名は2015年6月だったので、独立されてから比較的初期の作品ですね。
「銭湯に興味を持ってくれて嬉しいわ。」とおっしゃって、次々お話が飛び出しました。
深井戸が掘ってあり、山からの伏流水が尽きることはないそう。
87歳の大おかみがここに来た時24軒あった銭湯は1軒に。唯一残ったのがここ中嶋湯。その理由は「うちはお客さんが良いから」だそうで、「人の縁に勝るものはない」いうことですね。創業88年です。
辛抱の時期もおありだったようですが、中でもおかしかったのは「しにたくなったことが3回あったの。すぐそこ海だし。」の一言で、ご自身も笑っていらっしゃいました。「今はすごく幸せ」と言い切ります。
「東京まで帰るなら喉を潤していきなさい。」と飲料とお煎餅を下さり、10分ぐらいはお話ししたでしょうか。楽しかった。
おばあさんは私の手を取り、握手しました。「また来ます」と約束。
玄関まで出てきて手を振って下さり、「バイバイ」とおっしゃったのは意外で、素敵でした。